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バイオマス収益を財源に再造林促進を目指す「釜石地域森林整備基金」記者会見

 釜石地方森林組合と岩手県森林組合連合会は、釜石地方森林組合組合員(山林所有者)を対象に再造林費用を助成する「釜石地域森林整備基金」を開設しました。3月に第1回助成金交付が決定したため、釜石市長も同席のもと4月12日に記者発表を行いました。基金の財源は、県森連、釜石森組が新日鐵住金(株)釜石製鉄所内の石炭火力発電所に納入している木質バイオマス(間伐後の山林に残った枝葉や販売できない丸太)販売代金の収益の一部です。助成金によって組合員さんの再造林の経済的負担をなくすことで、地域の再造林を進め持続可能で健全な森づくりを促進していきたいとの狙いがあります。

 

○背景1 〜進まない再造林と東日本大震災

 林業の課題はたくさんありますが、昨今釜石地域で深刻なのが再造林が進まないことです。「再造林」というのは、山の木をすべて伐って(全伐、皆伐)その跡地に植林をして再び山を造っていくことを指しますが、木材価格の低迷で山林の価値が下がったことやこの地域ではシカが苗木を食べてしまう被害が多いために、伐った跡に植林をしない山林所有者さんが多くいます。さらに東日本大震災でご自宅などの資産を失い、生活資金や住宅再建資金を捻出するために皆伐しそのまま放置する方も少なくありません。管内では震災後に200ヘクタール以上が伐採されています。

 

○背景2 〜木質バイオマス供給

 一方で、当組合では釜石市、新日鐵住金釜石製鉄所とともに2006年から同製鉄所の石炭火力発電所への木質バイオマス供給実現に向けて、検討と実証実験を重ねました。「釜石市緑のシステム創造事業」として、釜石市から補助を受け高性能林業機械の導入や木質バイオマスを山から出すための作業道の開設に取組み、新規に雇用も増やしました。

(緑のシステム創造事業の補助金を活用して導入した高性能林業機械)

 5年間は目標納入数量を年間5000トンと設定し、順調に納入をしてきましたが、2011年の東日本大震災津波で当組合も役職員、事務所、データ等を失い組合存続も危ぶまれる事態になりました。他方で、震災による福島第一原発事故により再生可能エネルギーは注目を集めることとなり、同製鉄所との話し合いの結果、目標納入数量を48000トンまで引き上げることとなりました。そのため、当組合の上部団体である県森連に協力を要請し、県内他地域からも納入することになりました。

 当組合からの納入も12000トン(2016年実績)に増加したため、地域の森林整備の促進と組合員支援のために「釜石地域森林整備基金」を設置したい意向を県森連に伝え、当組合分の販売代金収益の一部を積み立てることに賛同いただきました。

 

○記者会見

 今回の助成対象となったのは管内の釜石市大槌町の8地区(所有者8名)の30.58ヘクタールです。このなかには当組合と企業の社員ボランティアや市民の皆さんと植樹をした同市箱崎町の山林も含まれます。基金の中から500万円程度を使い、再造林の費用に充てました。具体的には▽植樹の前の地拵え(皆伐した際に残った枝などを片付け、植樹の準備をすること)の費用▽苗木(スギ、ナラ、トチなど)の購入代金▽植樹の費用ーーに充当しました。

 12日の会見では、県森連の澤口良喜代表理事専務から「この取組みをきっかけに県内全域に広がり、岩手県の再造林を含む適切な森林整備につながっていけばありがたい」とコメント。当組合の久保知久代表理事組合長は「当組合管内は9割が森林。この資源を活用し地域経済が活発化するのでは、という思いをずっと持っていた。管内の森林資源を持続可能なものにするとともに低炭素社会の実現と森林の持つ公益的機能の向上に努めながら地域経済の活性化に努めていきたい」と話しました。

 また、この助成金の基盤にもなっている「緑のシステム創造事業」を進める釜石市の野田武則市長は「民間主体の先進的な取組みをしてもらった。再造林の促進になると期待している。釜石の製鉄と森林は歴史的に密接なかかわりがあり、この関係が新たな形となり木質バイオマス混燃発電につながっている。今回の基金の取組みを契機として官民連携して森林資源の有効活用と森林整備を充実させていきたい」とのコメントをいただきました。

 

 釜石地方森林組合では2017年度もこの基金を使い30ヘクタール程度の再造林を進めていきたいと考えています。

当組合の組合員さん、管内に山林を所有する方についてはぜひ「森林経営計画」を結んでいただき、この助成金を活用していただきたいと思いますので、お気軽におといわせください。

※問い合わせ先=釜石地方森林組合・高橋(0193・28・4244)

(広報担当=手塚)

 

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