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釜石大槌バークレイズ林業スクールオープンセミナー「林業経営と広葉樹の活用」を開催しました

 レポートが遅れましたが……

6月24日に、釜石大槌バークレイズ林業スクールオープンセミナー「林業経営と広葉樹の活用」を開催しました。

今回の講師は

田中崇仁さん(バークレイズ証券株式会社ディレクター =経営企画担当)
高橋幸男(釜石大槌バークレイズ林業スクール校長、釜石地方森林組合参事)
米沢健さん(岩手県森林組合連合会木材センター/共販グループ長)
藤島新さん (藤島製材工業取締役)

ーーの4名。


 

 

前半は、広く「林業経営」をテーマに田中さんが講演。

田中さんはマッキンゼーにも勤務した経営コンサルタントの視点から「森林林業白書」を読み解きました。詳細は昨年登壇していただいた時のレポートに記載しています。昨年も登壇していただきながら今回も来ていただいたのは、昨年度の「通年コース」受講生の多くが1年間の修了時の発表で「田中さんの講義が印象に残った」と話していたこともあります。近年「林業は成長産業」などと言われますが、現実はなかなかそううまく成長産業にはなっていません。田中さんのお話を聞くと、林業の知識がない人でもその本質的な理由が分かる、ということで今回もお招きしました。

 昨年度の講義の内容に、林野庁職員向けにレクチャーをした内容や質疑応答の内容も加えて、さらに盛りだくさんな講義になっていました。田中さんのたくさんの論点の中で、林業経営を考える上で、

「長期的な打ち手と短期的な打ち手を(切り分けて)考える必要がある」

「『林業』だけを考えていてもダメ、製材から加工までのバリューチェーンの全体を見ないと業界の全体像はとらえられない」

ーーなどの指摘は、まさにその通りだと思いました。

 じつは、当組合が地域の製材所さんなどとつくった「木材流通協議会」も、田中さんたちと一昨年に行ったワークショップや視察がきっかけに誕生したものです。あらためて、活動の実践への意欲が湧きました。

 

 午後からは、県森林組合連合会の米沢さんと藤島木材工業の藤島さんのお話。

米沢さんは長年、県森連の木材センター(岩手県矢巾町)で広葉樹を観てきた立場から、岩手県から産出するさまざまな樹種についてその木材としての特徴や最近の金額的な傾向(値段の上下)を紹介してくれました。

「高価な材」というイメージのケヤキが実は近年は価格が下がっていることなど、一般の方はあまり知らなかったかもしれませんね。またサクラなど身近な木材が高値で取引されていることなども紹介されました。

 また、一般には「節があると価値が下がる」と思われている木材ですが、ほかにも「こんな丸太は安くなってしまう」という欠点についても解説してくれました。長い時間をかけて育った木でも少しの違いで値段が全然違ってきてしまうんですね。

 

そして、最後は藤島さん。

藤島木材工業は北秋田市に本社があり、先に講演した岩手の県森林組合連合会から毎年たくさんの広葉樹を購入している、ということで今回お招きしました。同社は、国産材とドイツなどから買い付けた外材(いずれも主に広葉樹)の乾燥から加工までを手がけている会社です。藤島さんのお祖父さんが立ち上げ、現在はおば様が社長を務め、ご家族を中心に50名以上の社員がいます。

 岩手から10種類近い樹種の広葉樹を買い付け加工しているということも驚きでしたが、同社が岩手から買い付けた材がJR秋田駅構内に使われているというのも驚きでした。岩手の材が秋田の玄関口にも採用されているんですね!

 乾燥させて製材した板材を家具や楽器用に販売すると同時に、広葉樹のフローリングとして加工し工務店などに販売している、という同社。藤島さんはたくさんの写真を使いながら、原木の仕入れから乾燥、製材、加工がどのように行われているかを解説してくれました。広葉樹の集成材の製造過程も興味深いものでした。

 「高付加価値の商品を短納期で」が同社もモットーということで、同社ならではのユニークな製品が秋田空港や盛岡駅フェザンのショップ(アパレル)などに使われています。リノベーション物件やおしゃれな新築物件の写真もたくさん見せてもらいました。

 

 印象に残ったのは、国産の広葉樹の価値が国内で認められ需要が増えてくるにつれ木材への価値観も多様化してきた、という藤島さんの分析でした(だいぶざっくり要約していますが)。国産の広葉樹は、外材や国産の針葉樹に比べると、曲がりなどの個性が強かったり、木ごとに特徴があったりしますが、そういった広葉樹を使ってみたい人やセンス良く使いこなせる方が増えてきているのかもしれません。

 最後には、「秋田杉」のご当地ということで、スギ活用の家具プロジェクトについても紹介してくれました。こちらもデザインがかっこいい家具でした。

 

 午前中のシビアな経営の話から始まり、「高付加価値を短納期で」を実現する木材加工の現場からのお話を聞くことで、希望も持てた一日でした。

 

 田中さん、米沢さん、藤島さん、そして、参加者のみなさん、ありがとうございました。

 

(釜石大槌バークレイズ林業スクール担当:手塚)

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